セミナー&フォーラム シンポジウム「日中韓における都市再生:傾向と事例」(2021年3月23日、オンライン)
2021-03-23
「日中韓における都市再生:傾向と事例」をテーマに公開シンポジウムを開催しました。同行事は、内閣府など3国の政府関係機関の協力を得て行われ、各国の政府、自治体、学界など各方面から150名以上の参加がありました。
日中韓が共通して抱える、「都市再生」をめぐる課題は、地元ビジネス、インフラ整備、災害対策、住環境改善など様々な要素が絡みます。そのため、一言で「都市再生」といっても、優先的に扱うべき課題やアプローチの仕方は、国によって大きく異なります。今回のシンポジウムでは、各国のトレンドを俯瞰するとともに、具体例として、日本は高松市の丸亀町商店街、韓国は釜山市影島区、中国は北京市東城区崇甕大街の事例を紹介し合いました。
セッションでは、各国の専門家が都市再生事業の発展と特徴を発表しました。中国からは、1980年代の大規模な都市開発事業から質を重視した発展にシフトしつつあり、伝統文化の保全や地元コミュニティ・市場との連携が重視されている旨説明がありました。日本からは都市再生の特徴を「大規模複合型開発」「ウォーカブルシティ型」「身の丈再開発型」の3つにタイプ分けし、大型からコンパクトな事業まで、地域ごとに多様な形の都市再生が進められていることが紹介されました。韓国からは、文政権が推し進める「都市再生ニューディール」につき、住宅地の活性化、コミュニティの再生、地方経済の向上に焦点が置かれている旨紹介がありました。
また、事例発表では、各都市の成功事例や課題が紹介されました。北京中心部の歴史的地区である東城区崇甕大街の再生計画の実施においては、住環境及び交通環境の整備にあたり住民への事前調査が綿密に行われたことが紹介されました。高松市は、行政が主導した高松駅周辺の開発および民間主体で行われた丸亀町商店街の再生について発表しました。丸亀町商店街の事例は、地元住民が共同出資してまちづくり会社を設立し、定期借地権を活用して土地の所有と利用を分離することで体系的な再開発のマネジメントを実現した点が特徴です。また、釜山市からはスタートアップのプラットフォームを通じた伝統的食品産業技術の促進や、衰退した造船工場を革新的な海洋産業の基盤へと変革するための取り組みが紹介されました。
道上尚史TCS事務局長は、「TCSとして、三国の専門家と地方自治体の代表が都市再生について意見交換するのは初の試みであり、それぞれの地域の特性をいかして再生を遂げた都市の事例から長所を学ぶことで、持続可能な発展を模索している多くの都市の参考になればと思います。」と述べました。
▲発表者の集合写真
▲開会の辞を述べる道上局長
▲閉会の辞を述べる姜度好(カン・ドホ)事務次長